国立工芸館では、明治以降今日までの日本と海外の工芸及びデザイン作品、特に多様な展開を見せた戦後の作品の収集に重点を置いています。またこれらを後世に伝えるためにも適切な温湿度管理のもとで保管しています。
写真:鈴木長吉《十二の鷹》1893年
重要文化財 東京国立近代美術館蔵 撮影:池田紀幸
特別展または共催展、所蔵作品展を、年4 ~ 5回ほど開催します。特別展及び共催展では、特定のテーマに基づいて国内外の工芸・デザイン作品を展示します。所蔵作品展では約4,000 点の所蔵作品の中から、100 点前後の作品を選び、歴史や特定のテーマに沿った展示を行います。また、東京国立近代美術館(東京・竹橋)の所蔵作品展「MOMAT コレクション」でも、定期的に工芸・デザイン作品を展示します。
会場内での鑑賞のパートナーには多言語読み上げ可能なデジタル解説。またご来場前のウォーミングアップやご帰宅後の振り返りには少人数で会話しながら読み解く「工芸トークオンライン」など、さまざまな鑑賞機会をご用意いたしました。 ワークショップスタイルの体験・参加プログラムもオンライン・対面スタイルともに企画しており、皆さまと工芸とのさまざまな出会いの機会をご提供してまいります。
写真:ワークショップ(ピカ☆ボコバッジ)
アートライブラリでは、主に近・現代の工芸・デザインに関する作品集、展覧会カタログ、各種美術参考図書などを約3万冊、美術雑誌を約1,500タイトル所蔵しています。展覧会会期中の平日午後に開室しており、閲覧室の資料のほか、事前申込でその他の資料もご覧いただけます。
建物は明治期に建てられた国登録有形文化財の「旧陸軍第九師団司令部庁舎」(1898年)と「旧陸軍金沢偕行社」(1909年)を移築するとともに、過去に撤去された部分や外観の色などを復元して活用しています。
受付後すぐに現れる大型のタッチモニターは、工芸にはじめてふれる方のためのコーナー「工芸とであう」です。工芸の各技法や専門用語などをわかりやすく紹介する「2D鑑賞システム」と、工芸作品を360度楽しめる「3D鑑賞システム」の二つのデジタル鑑賞システムをご用意しています。
また工芸館裏手の緑豊かなエリアに展示されている《果樹園―果実の中の木もれ陽、木もれ陽の中の果実》(1978-88 年)は金工作家・橋本真之(1947₋)の作品です。移転に伴い、東京から現在の場所へ引っ越しました。どなたでも自由にご覧いだけます。
「蒔絵」の重要無形文化財保持者、松田権六(1896-1986)の工房を移築・復元のうえ常設展示しています。名品の数々が生み出された工房をご覧いただけるだけでなく、作家ゆかりの制作道具や関連資料、工房での制作の様子を記録した映像もあわせて展示しています。
今後、工房の維持管理や関連資料の整理・公開にも努めてゆきます。